Ken'ich Morooka
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画像処理,コンピュータビジョン,コンピュータグラフィックス,バーチャルリアリティ,複合現実など,画像メディア処理に関する研究や,画像メディア処理による医療やロボットへの応用研究を行っています.
物体や人体など,対象物の形状や機能情報のデジタルデータを体系化したものをモデルといいます.モデルの応用例として,実環境内にある物体のモデルをロボットに与えることで,実世界でロボットが自律的に行動できると考えます.映画やゲームなどでは,実在しないキャラクタのモデルを作成することで,そのキャラクタをCGで表示することができます.また,医療分野では,人体内部構造のモデルは,外科手術を支援するロボットや診断システムなどで幅広く用いられています.

我々は,実物体や人体内部構造を対象としたモデル化とその応用技術に関する研究を行っています.
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日本人デジタル脳図譜の構築
当研究室で,日本初の試みである,形状・解剖・機能データを統合した究極の日本人デジタル脳図譜(脳の解剖学的構造を示した地図)に関して研究を行っています.

現在は,デジタル脳図譜作成に必要なデータ取得法を構築しています.まず,OpenMRIや3次元デジタイザを使って,脳の表面形状データを得ます.次に,脳をブロックに分割し、さらに各ブロックから連続切片を生成し、染色により神経核や線維連絡を同定します。これらのデータを統合することで,デジタル脳図譜を構築します.

1つの脳図譜には,脳の全周形状データのマクロな情報から,神経核のようなミクロの情報まで含まれ,膨大な量のデータから構成されます.また,患者の年齢,性別,症例などに応じて複数の脳図譜が必要だと考えています.このような多種多様で膨大な量からなる脳図譜データベースを,ユーザが効率的且つ容易に蓄積・管理・処理できる技術開発を行います.

このプロジェクトは、文科省新学術領域「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」の公募研究課題(連携研究者)として採択されています.
ウサギからトーラスへのモーフィング デモ動画1>
トーラスへ2穴ブロックのモーフィング デモ動画2>
可変モデルを用いた異なる位相を持つ物体モデルのモーフィング
コンピュータ・アニメーションの要素技術の一つに,3次元物体モデルを用いたモーフィングがあります.これは,時間経過と共に,ある形状のモデルから別の形状のモデルに滑らかに変形する過程です.これを実現するためには,モデル間の対応関係を求め,変形途中の中間モデルを生成する必要があります.特に,モデル間で位相が異なる場合,変形途中での位相変化を考慮しなければならず,対応付け問題は複雑になります.

そこで,変形モデルの1つであるActive Balloon Model (ABM)を用いて,ABMの形状を変形させながら,任意の位相を持つ物体の近似モデルを生成します.これにより,ABMを介した対応点探索を行うことで,探索の高速化が可能となります.更に,複種類の時間関数によって中間モデルの位相変化を制御する方法を構築しました.これにより,従来のモーフィング法に比べユーザが位相変化を制御する自由度を増しつつも,その制御は容易に行えるようになりました.

この研究で,(社)映像情報メディア学会丹羽高柳賞論文賞を受賞しました.
新聞やテレビなどで,内視鏡手術という言葉を見聞きします.この手術は,小さな穴(5mm~2cm)を数箇所開いて,その穴に鉗子や内視鏡を挿入し,内視鏡の画像を見ながら鉗子を操作して行う手術です.通常の開腹手術と比べると,傷口が小さく患者の肉体的負担が軽減できるため,術後1週間程度で退院・社会復帰が可能となります.このように,手術の低侵襲化は,患者にとってメリットが多いのですが,一方,外科医には,特有の手術手技や,高度な知識・経験が要求され,肉体的・精神的に大きな負担がかかる手術です.

当研究室では,画像メディア処理技術を用いて,安全・確実な低侵襲手術を実現するシステムに関する研究を行っています.具体的には,外科医の手術手技を訓練するシステムや,手術中に対象腫瘍の位置やその周囲になる組織などを実時間で提示する手術ナビゲーションなどの開発を行っています.
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肝臓の変形 デモ動画>
実時間有限要素解析による軟性組織変形シミュレータの開発
臓器モデルを使った内視鏡下外科手術トレーニングシミュレータに関する研究を行っています.現在は,その要素技術である,対象臓器の動きや術具による変形を実時間で推定するシステムを開発しています.物体の物理的振る舞いをモデル化する技術として,非線形有限要素法(以後,非線形FEM)があります.非線形FEMは,高精度な力学シミュレーションが実現できる一方,その解析に膨大な計算時間を要します.従来の手法では,近似計算を導入することでFEM解析の高速化を実現していますが,それにより推定精度が低下する問題が避けられません.

これに対し,非線形有限要素解析とほぼ同程度の推定精度と保ちつつ,軟性臓器モデルの変形を実時間で推定可能なシステムを,ニューラルネットワーク(neuroFEM)を用いて実現しています.このような推定処理の高速化と計算精度の保証を同時に満たす従来手法はなく,提案手法は他に類を見ない手法であると言えます.
この技術の応用として,軟性物体の動きやその内部構造などの正確な情報を知らせるナビゲーション機能として利用でき,ロボット制御の安全性や確実性を高めることに貢献できます.

このプロジェクトは、文科省新学術領域「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」の公募研究課題(研究代表者)として採択されています.
自動気管内挿管システムのためのAdaBoostによる気道・食道自動識別
安全・確実な気道挿管の実現に向けて,スタイレット先端に小型カメラを搭載した自動気管内挿管システムに関して研究を進めています.その成果として,カメラから取得される画像から,挿管チューブが気道あるいは食道に挿管されているかを自動的に識別する方法を構築しました.

本手法は,気道画像には気道周囲の輪状軟骨が特徴的に観察される(図3参照)ことから,まずこの環状模様の記述に適した特徴量を定義します.多数の気道・食道画像を用いて,これらの特徴量に基づいた気道・食道識別器をAdaboostによって構築します.実験の結果,97.6%の高い識別率で気道・食道の判別が可能となりました.
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